「書類のサインは完了しました、すぐに届けてください」
「わかりました」
巨大なビルの社長室にいるのは、青い髪に青い目の可愛らしい少女。
だが、可憐な外見とは逆に倒産寸前だった会社を外見からは想像もできない手腕で再建し、以前よりも大きな会社へと成長させた。

「先導社長、取引先の件ですが・・また・・・」
専務にして、男顔負けの敏腕ぶりのミサキが悔しそうに報告をする。
重要な取引を邪魔されてしまった、その相手は名前を出すまでもない。

「・・・やられましたね・・。仕方がありません・・また次があります」
「・・・・・そうね」
悔しがって引きずっても仕方がないと、明るく笑って見せるが彼女・・・先導アイチが一番悔しいはずなのに。
ミサキは一礼をし、社長室を後にする。
茶色の布製の椅子に深く腰掛けていると、秘書にして護衛の男がココアを出してくれた。


「櫂君、ココアだなんて子供っぽいのやめてよ。僕は一応社長なんだよ」
威厳がなくなるから、コーヒーにしてと前回ココアを出した時にも言ったはず。
黒いスーツにネクタイは面倒なのかしてないラフな格好の男。

会社内での女性社員の結婚願望相手1の櫂トシキ。

「砂糖とミルクを入れないとコーヒーを飲めない奴が言うな」
「うっ・・・!」
ちなみに櫂はブラックコーヒーを平気な顔して飲んでいる。
アイチには真似なんてできないと、仕方がないのでココアを素直に飲むことにした。

牛乳はとてもいいものを使っていて、ココアの粉も良質なココアパウダーを使っているのがわかる。
優しい匂いと香りに、疲れが癒えていく。

アイチはまだ20歳になったばかり、いろいろと慣れないことや、わからないことだらけ。
ミサキ達にも助けてもらってはいるが、社長という立場から頼りすぎることもできずにいて

こういう時の櫂の心遣いがとても嬉しい。

ほっと一息していると、携帯に電話がかかってきた。
相手は相棒の三和で、内容はアイチには知られたくないのか一時社長室を離れる。

「さてと・・・残りも片づけないと」
パソコンの電源を入れて、慣れない眼鏡を取り出すと作業開始。
今日はエミと夕食を食べようとしていると、下の受付から電話が来た。

「どうしたんですか?」
『アクアフォース社の蒼龍会長が、すぐにお会いしたいとのことです』

確かに会う約束はしていたが、明後日の来日のはず。
確認しようにも櫂は席を外しているし、緊急の用事で入口に来ていると聞いた。

「待たせるわけにはいきませんので、僕が行きます」
アイチは社長室ほ出ると、エレベーター入口へ進む。
青黒いジャケットに少し膝上のスカートに、まだ履きなれないヒールでエレベーターへ。

「すいません、乗ります!」
先に誰かが乗っていた、深く帽子を被っていたが、社の人間だろう。
扉はアイチが入ると同時に閉まり、下へと下降していく。

(大切な取引先だものね、待たせたら失礼だよ)
息を整えて、急な用事とはなんだろうかとエレベーター内で二人を乗せていたが
アイチは此処でとても重要なことを思い出した、・・・手が震えてしまうほどに。


(変だ・・・このエレベーターは社長室から下の階まで直通のはず)

社長室のある階は広めな会議室と、大切なお客様を通す時に使う部屋。
今日は二つとも使う予定は入っていないのに、どうして後ろにいる男は同じ階にいる?

櫂ではない、だが櫂ほどの長身の男。





そういう男に心当たりがあった。
勇気を出して、後ろを振り向くと・・・帽子をかぶっていた彼は笑う。




「お久しぶりですね、アイチ君」

黒い帽子を取ると、赤い髪がふわりと解放されたように広がった。
男の髪の色のように赤黒いジャケットに、濃い目の灰色のワイシャツ。

櫂にも劣らない美しい顔の男だが、アイチにとって彼は恐怖の対象でしかない。


雀ヶ森っ・・・・レンさんっ・・・!」
ガタンッとエレベーターの扉に背中が当たる。
開のボタンを連打するが、このエレベーターは一階に到着するまで止まらない。

「どうして・・・こんなところにっ!!」
「セキュリティがまだまだ甘いですよ。僕の侵入を許すなんて・・・いけませんねぇ・・」

余裕の笑みを浮かべてアイチに近づいていく。
掛けていたアイチのメガネを取ると、床に落して踏みつけた。


「やはり君は、社長よりも僕の妻の方がふさわしい」


「・・やめてっ!!」
あの時の嫌な記憶が蘇る。
顔を手で抱えて、思い出さないように心に蓋をしているがレンは目を細めて扉が遠ざけて、エレベーター奥へアイチを掴み、引き込む。

ガタンッ!!と大きな音が聞こえて、エレベーターが止まった。

「どうしてっ・・・」
「ちょっと細工をしまして、大丈夫ですよ・・・すぐに終わりますから」
顎を軽く引くと、まだ花を咲かせる前の蕾の花の蜜を味わうようにして口づけをする。
抵抗を試みるもレンにはトラウマを植え付けられている上に、体格からして明らかに差があり、レンの好き勝手にされていた。

「・・・・・ふっ・・・んんっ・・・・・・!!」
「あの時のことを思い出しますよ。いっそこのまま僕のモノになりませんか?」
「イヤッ・・そんなっ・・・・・・アァッ!!」

ワイシャツのボタンを外されて、キスマークをつけられてしまう。
白い、まるでアイチの心の色をイメージしたようなシャツの中には、ピンクの可愛らしいブラが小さな胸を守っている。

顔を胸元に埋めつつ、スカートの下から下着に触れようと指を差し入れようとした時、エレベーター内が大きく揺れた。


「・・・来ましたか」
「・・・・・・はっ・・・・・櫂くっ・・・・」

天井へと繋がる蓋が落下してくると、上からダガーナイフを持った櫂が現れた。
ナイフには僅かに血がついており、まるで獣のような目つきでレンをそのまま斬りつけてやろうとしたが
黒光する拳銃で、受け止められてしまう。

「銃刀法違反だぞ、何処で手に入れた?」
「それは君も同じでしょう?明らかに殺す目的で作れたナイフなんて常備して?」

互いに一歩も譲らない。
櫂は一度、ナイフを拳銃から離し、レンからアイチを奪うと腕の中に埋めて、守る。

その姿にレンの目が不機嫌そうに細くなった。


「足止め役の奴らは、命だけは奪わずにしてやった。・・・どうせ下にはお前の部下が待っているんだろう・・さっさと失せろ」

秘書にして暗殺を得意とするアサカ。
護衛であり、片腕のテツが、櫂の予想通りに本社前に堂々と黒塗の高級車で待っている。

「今日はアイチ君ともっと遊びたかったですが・・仕方ないですね。
此処にアイチ君がいなければ、櫂・・・・君の両親の仇を取れたものを」
「黙れ、とっとと失せろ」

過去のことを言われても櫂は動揺一つ見せない。
エレベーターは稼働し始め、下の階へと降りていくと行き交う社員の中にレンは消えて行った。

また、遊びに来ますと恐ろしい言葉を残して。





レンがいなくなるのを確認すると、今日はもう仕事にならないと社長室の大きなソファーに櫂に支えられつつ、腰掛けた。

「アイチ・・・どうして一人で下に降りたんだ?」
「・・・・ごめんなさい・・・櫂君。まさか・・罠だったなんて」

レオンが来ていると、アイチを誘い出すための罠だった。
下の受付嬢は買収されたと白状し、今、ミサキとその部下のナオキが話を聞いているところだが解雇は免れない。

「・・・お前、あいつにどこまでされた?」
「えっ・・・?」

ワイシャツは小さな胸の谷間がチラリと見えるぐらいにまで、ボタンが外されており
レンがつけたであろうキスマークがつけられており、櫂は両親のことを言われても何の感情も沸かなかったのに

アイチに櫂以外の男に印をつけられたことに、一気に頭に血が上る。

「今日はもう仕事にならない・・・なら・・・、俺はお前からいつも通り『報酬』をもらう」
ソファーの上に押し倒されて、櫂はネクタイを外すとジャケットに隠されたショルダーホルスターを外す。
拳銃だけではなく、ナイフなども常備している。
真面目なアイチは銃刀法違反だと追及できないのはわけがある、これぐらいしなければレンには勝てない。

レンからアイチを守られないことがわかっているからだ。


「待って・・・・・まだ昼間なのっ・・・」
「お前は代金の代わりに、我が身を俺に差し出すと言ったんだ・・何処で抱こうが俺の好きだろう?」

アイチの白いワイシャツを、ボタンが飛び散るぐらい強引に開くと、レンのつけたキスマークを消すようにきつく肌を吸う。

「アぁッ・・まっ・・・櫂くぅっ・・!!・・・・」
胸を守っていたブラもホックを片手で器用に外すと、まだ未成熟な胸が太陽の下に姿を現す。
男の櫂の手はまるで収穫ように、桃色の飾りを指先で遊びつつ、アイチの可愛らしい喘ぎ声を楽しむ。

「ヤぁッ・・・そんなっ・・・揉まないでぇっ・・・・!!」
「いいぜ、もっと鳴けよ。アイチ・・・」
スカートを腰の当たりまで上げると恥ずかしさに赤く頬を染めるアイチをさらに追い詰める。
下着を下すとアイチに見せつけるように足の付け根に顔を埋める、快楽に負けて涙しているアイチ。

背筋がゾクリとする、今までアイチよりも胸の大きく、成熟した女を男の欲の処理相手に抱いてきたが
ここまで興奮したことはなかったと、細い足を掴んで動けないようにさらに追い詰める。

アイチの蜜壺から流れる、蜜を堪能した後・・・櫂はすでに興奮しきっていた己を突き入れる。
足は櫂の肩に乗せ、奥へ奥へと腰を打ちつけていく。

「あっ・・・アアッ・・・っ!・・・櫂ッ・・・くっ・・・!!・・ァぁっ」
「アイチ・・・・アイチ!」

大きくアイチの身体が揺れると、櫂は強い締め付けに歯を食いしばり、ゴムの中に欲を吐き出す。
妊娠させるわけにいかないがアイチを抱きたい欲までは、制御できないと持ち歩いて役に立った。

(三和から言わせれば、盛りのついた犬のようだな・・・)
番犬のはずが、守る対象をこんな風に喰い続けている。
息を整えて汗を袖で拭う櫂の身体の下には、櫂に身も心も食べられた可哀相な子ウサギが気を失ってた。

軽くタオルで身体を拭いてやると、備え付けてあるシャワールームにアイチを横抱きにして連れて行く。

櫂自身も全裸になると、お湯を貯めた湯の中に共に入る。



「アイチ・・・・」
身体を洗っているというのに、よほど疲れてたのか目を覚まそうともしない。
会社を立て直すためにいろいろと苦労していることと、レンとの再会、櫂の相手をすれば疲れて当然だ。



「・・んっ・・・」
背中に、アイチにはわからないように今のうちに肌を軽く吸って赤い痕をつけていく。
それだけで興奮して、また抱きそうになる。

今度はゴムなしで、生でアイチのナカに入って思うがままに櫂の欲をぶつけてやりたい。
だが、それは契約違反だ。

アイチは櫂に身体は差し出したが、そこまでは譲らなかった。











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