「鋼の装甲・・・、そんなもの砕いてやるぜ!!・・・ドロー!」
ダメージは今のところ互角、しかしナオキの手にレギオンのスキルを発動ができるカードを引いた。
これで形勢を逆転できると最後まで油断はならないが、流れはこちらに向けられるはず。

「信じた正義を貫き通す。拳で語るぜ、男気ライド!喧嘩屋 ビッグバンナックル・ドラゴン!」
ヴァンガードサークルの中央にコールされたのは白銀の鬣を持つ赤きドラゴン。
その拳には銀色の雷が走る、ネーヴは平静のまま、動揺一つしない。

リアガードも退却させられても、それがどうしたとネーヴのターンが始まる。
どうにかガードできたがナオキのダメージは4枚、もう2ダメージ与えられれば負けてしまう。

「ナオキ君・・・」
心配そうに観戦しているアイチ。
負けるわけにはいかない、アイチは自身の力を100%引き出せるだけの形のデッキではない。

もしもナオキが敗れれば次はアイチ、絶対に勝たなければ。
そしてシンゴの仇を打つ!!

拳に乗せし2つの魂。 滾れ、震えろ、ねじ伏せろ!シークメイト!!」
ドロップゾーンのカード山札へと戻っていくと、その中から得る喧嘩屋 ビッグバンスラッシュ・ドラゴンのカードが飛び出してくる。

「昂ぶれ、俺の魂!友の気持ちを乗せて爆ぜろ!!レギオンアタック!!」
赤と青のドラゴンが横並びとなり、パワーは合わせて20000。
エスペシャルカウンタープラストとパワープラス5000、一度のバトルで前列すべてのユニットとバトル、一気にリアガードを蹴散らした。

「チッ・・・」
さすがには、全てのリアガードを退却させられては余裕もなくなってきたのだろう。
しかしネーヴにはまだ防げるであろう、カードがある、ナオキがガード数を超えた攻撃を加えられれば・・・。

「まだまだ!!旋棍の喧嘩屋 アークのスキル!!」
相手のリアガードがドロップゾーンに置かれた時、パワープラス3000となり、合計10000だ。
アークが高くジャンプし、ネーヴはリアガードも失い、ダメージもあと一枚まで追い詰めたのだが。

「ガードだ」
ヴァンカードの前に、ガード10000のユニットが立ち塞がる。
これでは攻撃できないと悔しそうにアークは後ろへと下がった、これでナオキの攻撃ターンは終了。

(どうにか・・防ぎれれば・・・!!)
完全ガードがこちらにはあるしトリガーの嵐でもない限り、守って見せる。
ネーヴのターンとなると、勝利を確信したかのように彼は口元に笑みを浮かべていた。

「喰らうがいい、俺の攻撃の重さをな!!シークメイト!」

「「!!」」
先ほどのナオキと同様に、山札から一枚のカードが出てくる。
余裕の顔で、そのカードを受け止めた。

鋼闘機 ウルパスター、鋼闘機 シンバスター。
共に黒の装甲をしたロボットのユニットが横に並んだ、これがネーヴのレギオンだ。

「お前達だけが特別だとでも思ったか・・・片腹痛いわ・・・!」
「くそっ・・・!!」

しかし、こちらはパワーをブーストされても防げるだけのカードがある。
悟られまいとするが、ネーヴもそれを見抜いており、ネーヴのユニットはたとえ相手がいかに強い力を持っても何の意味もない。

「敵の守りを減じつつ、攻める強さは鋼の如く。この技を押しとどめる事、何人も敵わず!フェイタル・コールド・スティール!!」
レギオンのスキルが発動、後列の支援を受けヴァンガードのアタック時に
自分のレギオンのパワーが30000以上だと、グレード1以下のカードは使えない。

完全ガードもクインテットウォールも封じられた状態で30000の攻撃を受け止めなければいけない、ナオキの手元には
グレード1以下はあっても、以上はグレート3しかなった。

「くっ・・!!」
手元にカードはあっても、使えなかった。
ナオキのダメージゾーンに6枚目のカードが落ちる。

悔しそうに下唇を噛んでいるとダメージゾーンに置かれたカードが異様なオーラを放っている。

「ナオキ君!!」
「来るな!!アイチ!!」
嫌な予感がする、アイチに来るなと叫ぶナオキ。
ネーヴは薄く笑ったまま、ナオキに向かって手をかざすと。

「我が獄にて裁かれる者、人の力と思いの強さ。 今こそ来たれり審判の時!・・・・・・ジャッジメント!!」
「うわぁぁっ!?」
ナオキの足元に円柱の鋼が現れると、まるで突き刺すようにナオキを傷つけた。
その光景にアイチは絶句した、近づこうにも見えない壁に阻まれて触れることもできないでいる。

「ナオキ君!!しっかりして」
ようやく『制裁』が終わる頃には、ナオキの体はボロボロだった。
推測だが、このフィールドで負けた敗者は罰を受けるのだ、しかも強制的に。

「わりぃ・・・アイチ・・。負けちまった」
声も枯れ、痛みを堪えつつ話しているのがわかる。
ファイトに負けただけで、こんな仕打ちなど酷過ぎる・・・、アイチはネーヴを見たが彼は軽く肩を上下させるだけだ。

「さてと、残るは先導アイチお前だけだ。本当は石田ナオキではなく本当の目標はお前だったのだ・・そいつはついでだな」
ついででこんなことされて、黙ってなどいられない。
アイチはデッキを取り出すと、現れたファイトテーブルの前に立つ。

「待て・・・アイチ・・・!!お前だけでも・・・逃げろっ!!」
「無駄だ、俺を倒さなければ、此処から逃げらやしない。もっとも・・・お前らなどに俺が倒せるか」
ピンク色の可愛らしいケースからして、男らしさの欠片もない。
本当にアジアサーキットのチャンピオンだろうかと、大会はよほどレベルが低かったのだろう。

(だが、先導アイチは櫂トシキの友人の一人・・・確実に潰しておかなければならないファイターの一人)

こんな小さな小鳥に、ジャッジメントを食わせるのは気が進まないが
立ち向かうのなにら容赦はしないし、ナオキだけでは物足りなかったところだ。

「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

アイチのファーストヴァンガードは小さな可愛らしい子犬のユニット『りーばがる』をコール。
対するネーヴはというと、グレード0だがいかにも強そうな鋼闘機 メックローグ 、アイチのユニットを鼻で笑うネーヴ。

「くそっ・・・アイチ・・!!」
痛みで立ち上がることもできず、座って観戦していることしかできない。
互いにグレード2まで順調のコール、そろそろネーヴのレギオンがコールされてくるタイミングだ。

「どうして、こんな真似を。櫂君と関わりのある僕を狙ったということですが、何故・・櫂君を?」
「奴がファーストリバースファイター最初のリンクジョーカー使いだったからだ。
そのせいでどれほどの犠牲が生まれたか知らないお前達ではあるまい?」

世界はヴォイドの手に落ちかけ、アイチの周りの仲間達もリバースされて
仲間同士、心根は同じ方向を向いていたのにファイトさせられた苦しい事件、その首謀者の一人は櫂。

でも、櫂は力を求めすぎて、そのことしか頭に入っていなかった。
しかし彼は正気を失っていなかった、故意であるとネーヴが知っているのならこんなところにいることすら許されない。

彼らも被害者、そう考えるとアイチのファイトへ勝利するという気持ちがわずかに揺らいでしまう。

「シンゴも・・アイチも止めようとしたのに・・・どうしてっ・・・こんなことしやがるっ!!」
しかもシンゴは櫂と顔見知り程度で、一方的に憧れているぐらいだ。
アイチが狙われるのはわかるが、シンゴが傷つけるのは納得できない。

「関係ないだ?知り合い同士の時点で同じこと・・・!!止められなかったのだからな!!・・・シークメイト!!」
再び、ネーヴのシークメイトが発動。ウルバスター・シンパスターが並んで登場する。
アイチのヴァンガードは白きドラゴン、リアガートは片方が欠けている状態で、万全ではない体制であのスキルの攻撃を受けなければならない。

「鋼闘機 ユンボットのアタックだ!!」
「・・・ノーガードです!!」

攻撃はヒットし、唯一いたリアガードが消えていく。
残されたのはヴァンガ―ドのみ、次の攻撃は・・・ネーヴのレギオン。

「知っているだろうが、グレード1以下ではガードできないぞ・・!!そして・・お前のダメージは5枚、さっきと似たような状態のようだな。
まったく手ごたえがないな・・本当に櫂トシキの友人か?

残りの小娘共も、気は進まないがやもえまいな」

それはコーリンとミサキのことだろう。
宮地カードファイト部を潰すこと、それがネーヴが宮地に来た理由。

(ミサキさんと・・コーリンさん・・・!!)
巻き込まれたも同然の二人をシンゴとナオキと同じ目を合わす、ただ櫂の友人という理由だけで。
確かに櫂は人を沢山傷つけた、だがネーヴのやっていることは間違っている。

「そんなことはさせない!!ガード!!」
持っていたグレード2と1のカードを全てサークルに叩き付けるように出した。
5体のユニットが、ヴァンガードを守るように立ち塞がり、ネーヴのレギオンは後ろに下がるしかない。

「チッ・・・だがっ!!もう一度」
もう一体のリアカードの攻撃回数が残っている、アイチに襲い掛かるユニット。
メカの姿をしたライオン、ライオネッターがアイチに向かって大きく爪を振り下ろす、すさまじいイメージの痛み。

歯を食いしばり、必死に耐える。
こんなものナオキやシンゴが受けた傷と比べれば軽いものだ。

「・・・二人には手も出さない。もう誰も・・・傷つけさない!!
天空より舞い降りし、白銀の竜の名において命じる!!共に白銀の翼を持つ、聖なる者よ!降臨せよ・・・

シークメイト!!」

パサッと、白き翼を広げると手には刃がオレンジ色の剣が握られ天に向かってかざすと
空から同じコスモドラゴン『探索者ライトブレイズ・ドラゴン』、それを呼んだ『探索者ライトセイバー・ドラゴン』が並ぶ。

「これが僕のレギオン!!ロイヤルパラディンにして希望を探し、未来を探し進む者『探索者〈シーカー〉』!!」

二体のドラゴンがアイチの背後で並び立つ。
余裕の笑みを浮かべていたネーヴだが、現れた聖域のドラゴンに息を飲む。

(なんだ・・・あの男・・・雰囲気が変わっただと・・・!!)
今まで弱弱しい、男さの欠片もなかったのに今はまるで騎士のように凛々しく強い輝きを放つ。
その光は眩しくて、腕で思わず顔を隠すほどの。

小さな青い鳥が、大鷲へと変化しネーヴを貫く目をしているイメージが流れ込んでくる。

「探索者ライトセイバー・ドラゴンのエスペシャルカウンタープラスト!!リアガードにパワープラス5000!!」
リアガードの、連節棍の探索者 イスバザードもヴァンガードがレギオン中だと、自身にプラスパワー4000。
探索者 トランキル・ユニコーンも、コストを支払いパワー5000となる。

「イスバザードのアタック!!」
「ノーガードだっ・・!!」

リアガードよりも、ヴァンガードを守る方にカードを使うことを決めたネーヴ。
舌打ちしている暇もなく、次のアタックにレギオンが現れる。
背後にいるドラゴンの光はまるで、アイチの後光のように輝かせ、自身が輝いているようにイメージしてしまう。

「白亜の光と翼を持って、敵を貫け!!レギオンアタック!!」
手札全てをガードに回す。

「ドライブトリガー・チェック!!・・・ゲット、クルティカルトリガー!!」
「何だと!」
パワーは当然アイチのレギオンに、ガードとして前に立っていたユニットを貫いて、黄金の光を身に纏い
ネーヴの鋼闘機に激突すると白い煙が立ち上る。

「くそっ・・ダメージチェック・・!」
悔しそうにダメージチェックをするが、残念ながらヒールトリガーはない。
ダメージゾーンに6枚目のカードが落ちていく、彼は悔しそうに目を固く閉じて、下唇を噛む。

「やっぱりすげぇ・・・アイチ」
ブラスター・ブレードなしでのファイトを見るのは初めてだったが、己の分身のないデッキで
ヨーロッパサーキット優勝経験の持つネーヴを倒してしまうなんて、アイチも方も内心ほっとしたのか小さな息を漏らす。

「これで、この空間から出られ・・・・?」
対戦していたネーヴのダメージゾーンに置かれたカードが、ナオキが負けた時のようなオーラを放っている。
てっきり勝てば、この鋼の牢獄から出られると考えていたのに、これは一体どういうことだ。

「簡単だ・・・敗者には『ジャッジメイト』が下される、その意味がわかるな」
負けた者に下される判決、その意味がわかった時、ネーヴの身にナオキと同じことが起こる。
鋼がネーヴを傷つけていく光景に、アイチのナオキも茫然としている、彼が膝をついたところでようやくジャッジメントは終わった。

「ネーヴさっ・・・!」
元にいた校舎に辺りの風景も戻ると、アイチはネーヴの元へと駆け寄ろうとすると、手を前に出し彼自身が止める。


「敗者に・・・余計な情けなど無用だっ・・!!だが・・見事だ。先導アイチ」
外見の弱さに惑わされて、内なる鋼よりも固い、まるでダイヤモンドのような輝きの強さを見透かせなかったネーヴのミス。
どうにか立ち上がると彼は足を引きづりながら廊下の壁へと姿を消す。

「待ちやがれっ!!」
立ち上がれるまでに回復したナオキが追いかけるが、確かにネーヴは曲がったのに彼の姿はない。
一体彼は何者だったのか、しかし櫂トシキに対する復讐が目的ならば、他の皆のことが心配だ。

「すぐにカードキャピタルへ行かなっ・・・いてっ!!」
「ナオキ君!!」
あそこには櫂の仲間がいつも集まっている、狙われるとしたら真っ先にあそこのはず。
もしかしたら、もうすでにネーヴ以外の誰かが襲撃をして、痛い目にあわされているのではないか。

無傷のアイチがすぐに行くべきだが、ナオキを置き去りにはではないと迷っていると。


「どうしたの?」
後ろから、心配そうに声をかけきたのは生徒会書記のマキだ。







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